メルカリR4DXRチームのサマーインターンシップの一貫でCEDEC2018に参加してきました.
いつもと所属が違うとワクワクするものですね笑
今回はCEDEC2018のインタラクティブセッションについてまとめようと思います. 本当は全て展示の報告をしたいのですが,”インタラクティブ”セッションなので今回は実際に体験して興味を持ったものだけを紹介したいと思います.
ネックレス型力触覚デバイスHapbeatを用いた,首への力触覚提示によるゲームの臨場感向上手法の提案
http://hapbeat.com/
Hapbeat合同会社の山崎らのネックレス型の触覚提示装置です.以前からHapbeatの存在は知っていたのですが,未体験だったので今回体験することができてよかったです.
Hapbeatは低周波を提示することに優れたデバイスで,今回の展示ではFPSや格闘ゲームに合わせて触覚提示を行っていました.実際体験してみたのですが,銃撃音や打撃音などが直に体に伝わってきて,とても臨場感のある体験ができました.装着が簡単で高い臨場感が感じられるので,近い未来テーマパークなどで見るようになりそうだと感じました.また,音声信号を入力として駆動するため,既存のアプリケーションに簡単に組み合わせることができるのもとても良いです.
hapbeatを実際に体験させていただきました!
これはすごく面白い!!
音楽やゲームなどなど、音に合わせて振動するんだけど
首から下げるだけで体感はすごく違う!
ライブハウスとかで音の振動が体に伝わる、あの感覚にすごく近い!
これすごくほしい!!https://t.co/uG177EMBgt#CEDEC2018 pic.twitter.com/KGCYwHAffh— ソンチョーP@秋M3ス09a (@soncho0405) 2018年8月24日
導電繊維を用いた軽量かつ多彩な手形状計測用データグローブ
筑波大学の高田さん(博士2年)の展示です.導電繊維,いわゆるスマホが操作できる手袋の指部分の生地を使った手形状計測用グローブの展示でした.今回のグローブは手袋全体が導電繊維になっており,指を曲げる・くっつけるなどした際に抵抗値や電気の流れが変化する特性を用いて計測を行っています.
そのため,特殊なセンサなどを指につける必要がなく,軽量化・低コスト化が実現されています.個人的にはアプリケーション寄りの展示より,このような基礎寄りの展示の方が応用や今後の発展が考察できて楽しいです.
ガンナーオブドラグーン~竜と共に飛ぶ体験型VRの制作~
同人ゲームサークルHydrangeaの野生の男さんの展示です.昔流行った乗馬マシーンをモーションプラットフォームとしたVR体験です.最近の乗馬マシーンはUSB接続で制御できるんですね.これが一番驚きました.ゲーム自体はドラゴンに乗りながら敵を倒すシューティングゲームなのですが,乗馬マシーンによる揺れ,扇風機による風の提示で高臨場感をお手軽?に体験できました.家庭にある?ものでモーションプラットフォームの代替ができるともう少しVRが普及するのかなと思いました.
<弱いロボット>のインタラクティブ展示
豊橋技科大の岡田先生のICD-LABの展示です.一般的にロボットは文句など一切言わずにプログラムされた動きを淡々とこなすイメージがあると思いますが,この”弱い”ロボットは人間とのコミュニケーションを前提としたロボットです.この展示も論文を読んだことがあり,存在を知っていたので今回実際に見ることができてよかったです.
この画像のゴミ箱みたいなロボットはゴミ拾いロボットなのですが,自分でゴミを拾うことができません.その代わりゴミを見つけると,人間にゴミを拾わせてゴミ箱(ロボット自身)に捨てるように促します.ゴミを捨ててあげるとお礼を言ってくるなんとも可愛いロボットです.
ロボットアームなどの機能を失う代わりにコミュニケーション能力を獲得したと考えるとロボットの面白い進化だと思います.近い未来,ロボットが街中を自動で清掃するようになると思いますが,ロボットアームを振り回したり,ブラシを回転させたりしていると危なくて近づけません.このロボットのようにロボットらしい機構を捨てることで人間との距離を近づけるアプローチは今後重要になっていくだろうと感じました.
手を使わずに遊ぶVRゲーム~DIY筐体で実現する,リアルな浮遊体験~
グリーのゲームデザイナー千田さんらの展示です.グリー名義で出展していましたが,今回の作品は有志が趣味で作った作品のようです.ネットで簡単に購入できるものから画像のブランコを制作し,ブランコに座りながらVRゲームで遊ぶ作品です.個人的に一番惹かれた点として,筐体が非電源であるところです.モータを使って吊り紐を動かしたり椅子が振動したりという仕組みはありません.しかし,上昇する映像だけでベクションが表現されており本当に上昇している感じがうまく表現されていました.操作方法もブランコをベースにしたものが多く,直感的でとてもよかったです.また,メンバーの本職がゲームクリエイターということもあってか3DCG,ゲーム性が製品レベルでした.
Spin&Roll:凸回転体インターフェースを用いたアミューズメントシステム
東京電機大の松浦准教授の研究室の展示です.凸回転体と言われるとイメージが難しいですが,ラグビーボールのような楕円球のようなものをイメージしてください.机上に敷かれたシート状センサに金属を近づけた際の磁気の変化を読み取り,それに合わせてCGを描画する作品でした.金属自体はどのような物でもいいらしく,展示では凸回転体インターフェースの他に10円玉などのコインでも反応する様子を見せていただきました.
凸回転体は丸みがあり,細い・太い部分があり,様々な方向に回転するという様々な要素を併せ持った立体であり,1つのインターフェースで様々な機能を果たしていました.遠くから眺めている分には扱いづらそうな印象がありましたが,実際はペンのように扱ったり,回してみたりと直感的に操作できました.
空気圧人工筋を利用したウェアラブル力覚提示スーツ
広島大学の栗田教授の研究室の展示です.現在の自分の研究,興味から人工筋はサーベイする必要があったので直接触ることができて本当によかったです.人工筋でVRゲーム内で受けたダメージを表現するというものと,方向誘導を行うものの2つのコンテンツを展示していました.空気圧人工筋とは,空気を流し込んだときに1次元方向だけに伸び,空気が抜けるときに元に戻るものです.つまり,人工的に筋肉の伸縮を再現することができるアクチュエータです.力覚を提示する手法として,モータなどの物理的なアクチュエータを使ったもの,筋電気刺激の2つがありますが,体験した感覚的には応答性が早く筋電気刺激に近い印象を受けました.引っ張られるというより勝手に動いてしまう感覚です.SPIDARなどのワイヤー系よりリアルな力覚を感じました.
以上が僕が体験したインタラクティブセッションの報告になります.
内容に間違えなどがありましたらご連絡ください.